ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

政国策際動情向報国際鉛亜鉛研究会春季会合2019年需給見通しについて日本鉱業協会企画調査部一条瑛国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)の常任委員会が,ポルトガル,リスボンで2019年5月8日に開催され,加盟国や産業団体,企業,専門家等の約50名が参加した。ILZSGは,2018年及び2019年の,鉛及び亜鉛に係る世界の鉱石生産,地金生産及び地金消費予測値について,加盟国から提出された数値をベースに検証を行い,その結果について発表を行った。本稿ではILZSGによる2018年及び2019年の鉛及び亜鉛の需給見通しについて報告する。1.鉛2019年の見通し2019年は中国の消費量も微増で推移すると見られており,供給が需要を超えると予想されている。世界の鉛市場に大きな影響力を持つ中国における,電動自転車及び電動二輪車での鉛蓄電池からリチウムイオン電池への代替や自動車販売台数の伸びの変化が引き続き注目されている。(1)需要世界の鉛地金消費について,2018年はリチウムイオン電池の普及による電動自転車及び電動二輪車での鉛蓄電池の需要減及び自動車セクターの成長鈍化が重なり前年比0.2%減の1,172万トンとなったが,2019年は前年比回復を見込んで1.2%増の1,187万トンと予想。地域別には,中国が1.1%減の492万トンとなる一方,中国を除くアジア全体の消費は堅調で5.6%増の125万トンとなる。日本,インド及び韓国の見掛消費がそれぞれ前年比4.4%,11.4%,2.8%増加することから,中国の減少分を相殺する。また,ヨーロッパでは,ドイツ,イタリア,スペイン等で増加し,1.8%増の197万トンと見込まれる。(2)供給1鉱石世界の鉛鉱石生産は,2018年に前年比0.9%減の467万トンとなったが,2019年は1.8%増の475万トンになると予想。地域別には,中国が2.2%増の214万トンとなり,中国を除くアジア全体でもインドを中心として堅調に推移し前年比8.5%増の60万トンとなる。また,カナダのSilvertip鉱山及び南アフリカのGamsberg鉱山等の新規鉱山が生産量の増加に寄与する。他方,メキシコ,ペルー及び米国等は2018年よりも低いと見込まれる。2地金世界の鉛地金生産量は,2018年に前年比0.5%増の1,164万トンとなり,2019年は2.5%増の1,194万トンと予想。地域別には,中国で二次鉛精錬所が環境規制の基準を満たせず閉鎖したことにより2018年の中国は前年比0.8%増の491万トンと成長が鈍化したが,2019年にはやや回復し1.4%増の498万トンとなる。中国を除くアジア全体でもインド等での増加を背景に4.6%増の252万トンとなる。その他,オーストラリアで14.3%,韓国で3.6%,ヨーロッパではベルギーとイタリアでの増加を受け2.9%とそれぞれ生産拡大が見込まれる。(3)需給バランス当研究会は,加盟国からの情報提供のすべてを考慮し,2019年には鉛地金の世界需要が7万1千トン供給を上回ると予想している。-37-鉱山第777号2019年7月