ブックタイトル鉱山2019年7月号

ページ
41/70

このページは 鉱山2019年7月号 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2019年7月号

した[1],各種添加元素の中で最も効果的であったVNの添加効果について解説する。図6は,FeCoに対してVとNを同時添加した試料の結晶構造解析と磁気特性評価の結果である。xはN添加量であり,xの増加に従いFeCo量とV量は両者とも減少したが,その減少量はVの方がやや大きく,概ね組成式(Fe 0.5 Co 0.5 ) 90-x/2V 10-x/2 N x (0 ? x ? 9.6 at.%)に一致した。図6(a)はIn-plane XRD,(b)はOut-of-plane XRDの結果である。B.G.はバックグラウンド(B.G.:(a) aIn-plane XRDLog(Intensity) (a.u.)MgO (220)bcc-FeCo (200)Rh (220)fcc-FeCo (220)X=9.6 at%7.3 at%6.5 at%5.5 at%4.9 at%3.1 at%2.2 at%2.0 at%(b)bOut-of-plane XRDRh (002)fcc-FeCo (002)bcc-FeCo (002)Rh (004)X=9.6 at%7.3 at%6.5 at%5.5 at%4.9 at%3.1 at%2.2 at%2.0 at%1.7 at%1.7 at%1.5 at%1.5 at%1.0 at%1.0 at%0.5 at%0 at%0.5 at%0 at%B.G.B.G.60 65 70 75 80 45 50 55 60 65 105 1102θ(degree)2θ(degree)MgO基板とRh下地)であり,これと一致するピークは全て黒の点線で示してある。赤の点線はFeCoがbccの場合とfccの場合の典型的なピーク位置を示してあり,赤矢印は試料からのFeCo由来のピークを指している。図6(a),(b)のどちらにおいてもバックグラウンドからのピークとFeCo由来のピークのみが観測されることから,FeCo以外の化合物の生成はなく,またFeCoの(001)面が膜面に対して垂直方向に配向した擬単結晶膜が得られていることがわかる。また赤矢印に注目すると,例えば図6(b)では,N添加量xの増加に伴いbcc-FeCo(002)ピーク位置からfcc-FeCo(002)ピーク位置まで連続的にシフトしている。このことから,格子定数cは,xに依存してバルク値からほぼfcc-FeCoの格子定数まで連続的に伸びていることがわかる。図6(c)は,図6(a)と(b)の結果から算出された軸比c /aのN添加量x依存性である。軸比c /aはxに依存して増加し,x=2-5at.%でc /a ? 1.25のbct構造となり,xがそれ以上ではc /a ? 1.4のほぼfcc構造に変態している。ここには示していないが,このようなbcc-bct-fcc変態は,膜厚が100 nmの試料でも確認された。注目すべき点は,図4で示したように,VN無添加のFeCo薄膜の場合には,膜厚の増加に伴いbct構造はすぐに不安定化し,膜厚5nm程度でほぼ完全に元のbcc構造へと変態した(c) bc/a1.51.41.31.21.11.00 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10N content, x (at.%)fccbccd(d)Ku (10 6 J・m -3 )1.61.41.21.00.80.60.40.20.0-0.2Calculation(x=0, S=0)1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5(bcc)c/a(fcc)図6 MgO sub./Rh/(Fe 0.5 Co 0.5 ) 90-x/2 V 10-x/2 N x (0 ? x ? 9.6 at.%, t=20 nm)/SiO 2の(a)In-plane XRDと(b)Out-of-plane XRD,(c)軸比c /aのN添加量x依存性,(d)磁気異方性定数K uの軸比c /a依存性-33-鉱山第777号2019年7月