ブックタイトル鉱山2019年7月号

ページ
39/70

このページは 鉱山2019年7月号 の電子ブックに掲載されている39ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2019年7月号

膜面内方向の解析と格子定数aの算出にはIn-plane XRD,膜面に対して垂直方向の解析と格子定数cの算出にはOut-of-plane XRDを用いた。また必要に応じて透過電子顕微鏡(TEM)を用いた。磁気特性の評価には極カー効果測定装置(MOKE),振動試料型磁力計(VSM),超伝導量子干渉(SQUID)磁束計,トルクメーターを用いた。微細加工には全て,電子線描画装置(EB)によるEBリソグラフィー技術を用いた。図3(a)にEBリソグラフィー工程の概略,(b)に微細加工の設計図を示す。電子線に感光するレジスト剤には,設計に応じてポジ型レジスト(ZEP520)とネガ型レジスト(TEBN-1)を使い分けた。薄膜を削る工程では,現像後のレジストをマスクとしてArイオンミリングを行った。ミリング後の薄膜は,図3(b)に示すような円形のドットが三角格子状に規則配列したパターンとなるように設計した。ミリング後のドットの直径(D)や形状の評価には走査電子顕微鏡(SEM)を用いた。またドットの磁化曲線の測定には局所極カー効果測定装置(MOKE),磁区構造の観察には磁気力顕微鏡(MFM)を用いた。3.実験結果3-1.手法Aによる正方晶FeCo薄膜の作製図4は,MgO sub./Rh/FeCo(t nm)/SiO 2の軸比c /aと膜厚tの関係を示している。格子定数aとcの算出にはそれぞれIn-plane XRDとOut-of-plane XRDを用いて軸比c /aを算出し,TEM測定から得た値も合わせてプロットしている。膜厚が1 nm程度の薄い領域ではc /a=1.4付近のfcc構造が得られており,膜厚の増加に伴いc /aは減少し,膜厚が5 nm程度でc /a ?1.0のbcc構造へとほぼ到達し,それ以降の厚い膜厚の領域では,元々の安定構造であるbcc構造に漸近している。このことから,膜厚が比較的薄い0 < t < 5 nmの領域では,所望の1.0