ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

だきました。2-2.岡山大学大学院自然科学研究科仁科勇太研究教授「黒鉛の酸化・剥離によるカーボンナノシートの作製とその応用」仁科先生は,有機合成がご専門で,炭素という様々な同素体を持つ元素に注目され,中でも金属材料の代替としてのグラフェンに大きな可能性を感じているとのこと。しかし現状は,グラフェンの製造コストが高すぎるため,これを天然黒鉛から剥がし取ることで,安価で作れないかと考え,黒鉛に強力な酸化剤を作用させながら,安全に酸化グラフェンを製造するプロセスを開発されました。2014年に当時世界最大スケールの酸化グラフェン製造(500g/バッチ)に成功し,現在では5~10kg/バッチのベンチプラントも出来ていて,連続生産も可能になっているとのこと。先生ご自身がベンチャー企業「NiSiNa Materials」を立ち上げ,大学の枠組みを超えた,企業との共同開発にも取り組んでおられるそうです。先生の酸化グラフェン製造技術は,新聞や雑誌などでも取り上げられ,産学連携の成功例として紹介されているとのことです。2-3.岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科紀和利彦准教授「テラヘルツ技術」テラヘルツ波は,電波と遠赤外線の中間の波長域の電磁波であり,その検出方法が難しい為に利用が広がっていませんでしたが,近年は技術開発がなされ,通信の分野や空港でのセキュリティ用途(ボディスキャナー)等で,実用化が進んでいます。紀和先生は,テラヘルツ波を応用したケミカル顕微鏡の研究に取り組まれています。ケミカル顕微鏡とは,Si半導体にフェムト秒レーザーを当てるとテラヘルツ波を発振する現象を利用し,Si上に溶液をのせて反応させると,それに応じてテラヘルツ波が変化することから,反応を直接見ることができるとのこと。この手法を応用して,リチウム電池の電極反応のムラの観察や,触媒反応の観察,がん細胞の検出などに応用しているとのことでした。岡山大学では,テラヘルツ分光装置を,県内企業が製品化し,販売しているそうで,もし購入を希望される場合はご相談くださいとのことでした。2-4.岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科堺健司助教「磁気を用いた新規非破壊検査技術」堺先生は,超高感度磁気センサ(SQUID)や汎用の磁気センサを応用して,新規の非破壊検査技術の開発や,免疫検査方法の開発に取り組まれています。今回はその応用例として,太陽電池の評価と,磁気を用いた鋼材の内部欠陥検査技術についてご紹介いただきました。その他に写真1岡山大学創立五十周年記念館にて集合写真-23-鉱山第777号2019年7月