ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

写真2第1煙突跡自熔炉に吹き込まれます。自熔炉では,銅品位約65%の鈹(マット)と鍰(スラグ)に溶解・分離します。自熔炉本体は1973年に建設した当時とほぼ変わらぬサイズでありながら,その生産量は3倍以上に能力を高め,1炉での生産能力として世界最大級の規模となっています。100年を超える技術の蓄積により,設備と操業の両面において,成し遂げられた結果と感じました。管理室では,プラント全体の集中管理がなされており,ボイラ管理では,差圧変化を注視しているとのことでした。(4)精製炉及びアノード鋳造機転炉で得られた粗銅には不純物としての酸素が含まれているため,ブタンガスを還元剤として精製炉内に吹き込み,銅品位を99.5%まで高めています。精製炉は400t炉が3基稼働し,精製粗銅としてアノード鋳造機へ移され,円形テーブルにてアノード陽極板として鋳造しています。離型剤の塗布からアノード陽極板の脱型,冷却まで全て自動化され効率の良いシステムになっていました。また,集塵設備等作業環境も整えられ,作業者にとっても良好な環境との印象でした。(5)第3電解精製炉で鋳造された銅品位99.5%のアノード陽極板は,電気分解により銅品位99.99%の電気銅に精製されます。ステンレス板をカソードに使用したパーマネント・カソード法を採用されており,国内では最初に技術導入したシステムとのことです。電解槽の数は768槽あり,1サイクルあたり約9日間ほどの電解日数を要しているとのことでした。電解槽独特の臭気もほとんどなく,換気が行き届いていると感じました。3.おわりに今回,世界最大級のクリーンな製錬所ということで,実際に製錬プロセスの主要な設備を見学させていただき,各所で作業環境改善への対策や周辺環境への配慮等,クリーンな製錬所への取り組みに深く感心致しました。また,安全活動に対しましても,場内に掲げられた安全標識や注意喚起の掲示板等,非常に明るくわかり易く表示されており,私たち現場を預かる工務部門として,非常に勉強になりました。最後に,日本鉱業協会工務部門の見学会を快くお引き受けいただき,ご丁寧な説明とご案内をいただきましたパンパシフィック・カッパー株式会社の皆様に深く感謝申し上げます。以上鉱山第777号2019年7月-20-