ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

見学会C班(分析部門)日本電子株式会社およびクリクラ町田工場/中央研究所見学記DOWAテクノリサーチ株式会社小坂センター馬場諒2019年度全国鉱山・製錬所現場担当者会議のC班(分析部門)の見学会は,6月13日に日本電子株式会社本社およびクリクラ町田工場/中央研究所で開催されました。今回の見学会には,37名の方が参加されました。当日は梅雨入りとは思えないほど,清々しい天気に恵まれました。定刻通りに出発し,首都高速を西方面に渋滞なく進み,国営昭和記念公園にほど近い,最初の見学先である日本電子㈱本社(東京都昭島市)に到着しました。日本電子㈱はJEOL(ジオル,ジェオール)の愛称で呼ばれる方も多いかと思います。今年で創業70周年を迎え,アカデミア領域で培ったコアテクノロジーを元に,医療分野における生化学自動分析装置や,半導体分野における電子ビーム描写装置,産業分野では電子ビーム金属3Dプリンターを開発し,これら3つの事業領域の拡大や,最新機器による受託分析サービスの導入を行っています。見学会は,始めに会社紹介をしていただいた後,開発館1Fロビー中央に展示されている,1947年に開発された透過型電子顕微鏡「DA-1」の前で集合写真を撮りました。その後,3つの装置についてご説明いただきました。1つ目は,軟X線分光器SXESを搭載したフィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザJXA-8530FPlusを紹介していただきました。測定例として,ダイヤモンドとグラファイト,ポリマーの違いが判別できる結果をご説明いただきました。加速電圧を変えることで,深さ方向の情報も得られ,X線光電子分光(XPS,ESCA)のような使い方ができるということでした。2つ目は多機能性電子顕微鏡JEM-F200の部屋に案内していただき,電子顕微鏡の原理をわかりやすくご説明いただきました。チタン酸ストロンチウムの原子カラムを観察した例では,エネルギー分散形分光器(EDS)でTiとSrが原子レベルでくっきりと見分けられる画像を見せていただきました。高分解能ということで,人の話し声などのわずかな振動や人体の熱によってもノイズが発生するほか,車や電車から発せられる磁場の影響もあるため,この部屋は磁場キャンセラーの設置された防音室であり,21℃で管理されているとのことでした。3つ目は,ネオスコープ卓上走査電子顕微鏡JCM-7000 NeoScope TMを紹介していただきました。この装置は非常にコンパクトで,マウスをスクロールするだけで光学CCD画像とSEM画像がスムーズに切り替わります。SEM観察をしながらリアルタイムでEDSによる元素分析や,深さ方向の観察も可能ということで,表面分析初心者の筆者だけでなく,現場の方々が直観的に操作できる,非常にユーザーフレンドリーな製品だと感じました。昼食後,バスで次の見学先であるクリクラ町田工場/中央研究所に移動しました。入館してまず,参加者たちはウォーターサーバーの水で喉を潤しました。クリクラは株式会社ナックの宅配水事業として2001年に始まりました。クレヨ鉱山第777号2019年7月-16-