ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

すれば,亜硫酸ガスは瀬戸内海上で拡散され,煙害が発生することはないと考えたそうである。しかし,拡散されると考えた亜硫酸ガスが予想に反して風に乗り,そのまま四国本土にまで流れ,煙害を愛媛県の東予地方全体にまで拡大させることとなった。以降,煙害克服に向けて様々な技術改良に着手し,1939(昭和14)年の亜硫酸ガスの中和工場の完成で,ようやく煙害の被害を根絶するに至った。四阪島に製錬所が移転してから34年後のことである。現在,四阪島では,㈱四阪製錬所が製錬技術を活かし,製鋼煙灰に含まれる亜鉛を回収するリサイクル事業を行っている。このような操業当時の面影を我々は,日暮別邸記念館を利用して入館料無料で垣間見ることが可能である。なお,四阪島製錬所内に存在していた鉄筋コンクリート製の高さ64.2mの大煙突は,煙害克服の象徴とされていたのだが,劣化が激しいため2013(平成25)年に撤去されたことを知り,歴史を伝える遺産の一つが消失するのは名残惜しいと感じた。4.マイントピア別子マイントピア別子は,1991(平成3)年6月にオープンした,新居浜市の産業基盤となった別子銅山の施設跡を利用した鉱山のテーマパークである。また,道の駅マイントピア別子と併設している。マイントピア別子内には,1930(昭和5)年から閉山の1973(昭和48)年まで採鉱本部が置かれていた端出場(はでば)地区を開発した「端出場ゾーン」と,1916(大正5)年から1930(昭和5)年まで最盛期の採鉱本部が置かれていた東平(とうなる)地区を開発した「東平ゾーン」がある。本見学会では,端出場ゾーンからマイクロバスに乗り,片道約25分かけて東平ゾーンを回った。(1)端出場ゾーン端出場ゾーンでは,当施設内にある「端出場駅」から忠実に鉱山鉄道を再現した鉱山観光列車が開設されており,片道3~4分で約400m離れた鉱山観光エリアと行き来できる。このエリアでは,旧火薬庫を利用して作られた観光坑道(長さ333m)内に,江戸時代から近代までの別子銅山の様子が多岐に亘り,再現されている。さらに当エリアでは,別子銅山坑内での採鉱作業をアトラクション形式で体験しながら学ぶことができるそうである。その他,端出場ゾーンでは,砂金採り場やバーベキュー場,キッズパーク,温泉施設なども併設されており,家族揃って楽しめるエリアが広がっている。(2)東平ゾーン集合写真日暮別邸記念館にてマイクロバス鉱山第777号2019年7月-10-