ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

の小委員会で,2030年度CO 2排出原単位の削減目標を26%減へと引き上げることを表明しています。本日の講演はまさにタイムリーな内容であり,ここにお集まりの皆様も,興味深くお聞きいただけるものと思っています。特別講演に引き続き,資源,製錬,分析,工務,新素材の各部会に分かれ,合計49件の一般講演を予定しており,また2日目から3日目にかけては,部門ごとに関係先の現地見学会を実施して見聞を広め,交流を深めることができるなど,非常に中身の濃いプログラムとなっています。さて,ここで最近の非鉄金属業界の状況について少し申し上げたいと思います。非鉄大手8社の2018年度決算は,前期にあった海外鉱山の減損影響が無くなったものの,主に金属部門での在庫影響・買鉱条件の悪化・製錬コストの増加等による減益幅が大きく,トータルの売上高は前年度比プラスとなりましたが,親会社株主に帰属する当期純利益は,8社のうち5社が減益となりました。収益が安定していた電子部品なども,期の後半より顕在化した中国の減速などにより苦戦しており,厳しい結果となっています。2019年度も,米中貿易摩擦の激化,英国のEU離脱問題,イラン,北朝鮮などの地政学的リスクが影を落とし,景気や相場に対する不安要素が拡大しています。このような外部環境下ではありますが,私たちには,我が国の幅広い産業にとって必要不可欠な非鉄金属資源を確保し,高品質な非鉄金属素材を安定的に供給すること,さらに循環型社会推進の担い手として,これらの素材を確実かつ適正にリサイクルし,環境保全に貢献することが求められています。こういった社会的使命を果たすために,現場の第一線において,コスト削減や生産性の向上,さらには技術改善や研究開発に取り組まれている皆様の継続的な努力が,我が国の非鉄産業の競争力向上のカギとなると考えています。私は,学生時代にタングステン鉱床の研究を行ってきました。また40年以上の社会人としての経験のうち,半分以上現場にいて,ものづくりの第一線を現場で体感してきて,その重要性を認識しています。私の経験上,皆様のような,現場の第一線で活躍されている方々が,自らの経験に基づき講演の準備をされ,豊富な知識や経験を持った人々が集まり,様々な課題に対して活発な議論や情報交換を行うことは,必ず今後の皆様の貴重な財産となります。また何物にも代えがたい人脈をも,作り上げることができるものと思います。今回の「全国鉱山・製錬所現場担当者会議」の場を有効に活用していただき,ひいては今後の我が国の非鉄金属業界の一層の発展につなげていただくことを,大いに期待しています。今回も見学会を含めますと3日間の会議となります。この会議が皆様にとり,実り多い場となりますことを再度祈念いたしまして,私の開会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。以上-7-鉱山第777号2019年7月