ブックタイトル鉱山2019年7月号

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概要

鉱山2019年7月号

が析出するが,Li 2 O 2の伝導性が低く,電極構造が重要であり,ナノ炭素正極層内の空隙を制御することで優れた正極の開発に成功した。しかし,充電時の過電圧が大きく,溶媒や炭素の酸化という大きな問題が残っていたが,メディエーターを利用することで充電過電圧の低減に成功している。リチウム金属負極に関する研究も実施し,リチウム金属表面のLi 2 O皮膜を安定化させることで平滑なLi金属負極の溶解・析出が行えることを実証している。ラミネート型電池の試作も既に実施しており,企業との連携による実用化研究も進めている。5)マグネシウム金属電池マグネシウム金属を使用することでエネルギー密度の向上,資源問題の解決,安全性の向上が期待される。しかし,マグネシウム金属負極に使用できる電解液と正極に利用できる電解液では物理化学的な性質が大きく異なり,両電極に適合する電解質の開発と活物質表面修飾による界面形成が求められている。基礎的研究の成果として電解液に関する基本的指針と活物質表面修飾法は得られており,電池試作が重要な課題となっている。6)リチウム金属二次電池リチウムイオン電池の黒鉛負極をリチウム金属電極に置き換えた電池であり,基本的構造は類似している。問題はリチウム金属負極の充放電の可逆性と安全性であるが,新規電解液の開発や新規セパレータ開発の結果,既に実電池作製の段階に来ており,出力特性にも優れ400~500 Wh kg -1(800~1000 Wh L -1)のエネルギー密度を有する電池がそれほど遠くない時期に可能となるであろう。3.各部門の講演会6月12日午後からは資源,製錬,分析,工務,新素材の5部門に分かれて分科会形式で一般講演が行われた。一般講演の資源,分析,新素材の3部門は12日午後に,製錬,工務の2部門は6月12日午後~13日午前の2日間にわたって開催された。工務部門では,特別講演および昨年度の工務部会賞の表彰式が行われた。概要は次のとおり。(工務部門特別講演)工務部門では,長らく資源循環化社会の実現と再生可能エネルギーの導入促進に向けた実証にも取り組まれ,広く卓越したエネルギー・環境分野での見識をお持ちの株式会社スリー・アール代表取締役菅井弘様に『将来へのエネルギー消費削減と資源循環の展望』と題してご講演いただいた。非鉄製錬業界は,依然として先行き不透明な状況に置かれ,国際競争を勝ち抜くためには省エネや生産性向上や資源循環に係る取り組みが一層重要になっており,将来のエネルギー消費削減と資源循環への取り組みは,重要かつ喫緊の課題である。菅井様には,当非鉄金属製錬業界を取り巻く状況をご理解いただいたうえで,エネルギーや資源循環なども踏まえ,詳細な導入のご説明を特別講演魚崎講師特別講演金村講師-3-鉱山第777号2019年7月