国際銅研究会(ICSG)2021年10月総会報告

2021-10-14

国際銅研究会(ICSG)2021年10月総会報告

2021年10月12日
日本鉱業協会企画調査部

 2021年の秋季国際銅研究会(ICSG)総会は、10月5日および6日(現地時間)にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて行われ、加盟国の政府および業界の代表者などが会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が必要に応じてオンライン会議に参加した。10月7日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次のとおりである。

1 2021年と2022年の世界の銅需給予測(添付の需給総括表参照)

1)銅精鉱生産

世界の銅精鉱生産量は、この3年間でほとんど本質的な変化がなかったが、歴史的な混乱要因による調整を経て、2021年で2.1%、2022年で3.9%の増加と予測。

  • 前回の春季会議での2021年銅精鉱生産量増加率予測は3.5%だったが、2.1%へ下方修正された。
  • 新規の設備増強にもかかわらず、2021年の世界の銅精鉱生産量は、一部鉱山での品位低下や操業不調に加え、ペルーでの生産回復の遅れ、チリでのSX-EW方式での生産の減少、ミャンマーでの鉱山の一時的な閉鎖等の要因により、当初見込まれていたよりも増加率が鈍化した。
  • ペルーを筆頭に、多くの国でCOVID-19の感染拡大前の水準までの生産回復が続くことに加えて、新規プロジェクトの操業開始や既存鉱山の増産と拡張が期待され、2022年の精鉱生産量は3.9%増加と予測。
  • 直近4年間では銅鉱山の大規模なプロジェクトは2件しか新規に開山しなかったが、銅鉱山の開発状況は改善されていく。2021,2022年に開始予定の大規模なプロジェクトは、コンゴ民主共和国のカモア・カクラ、ペルーのケジャベコとチリのBHP系のスペンス(SGO)、ケブラダブランカ2、ロシアのウドカンを含んでいることに加え、中小の鉱山プロジェクトも新規操業を開始する。
  • 本年落ち込んだSX-EW銅地金の生産量は2022年には回復すると予測しているが、その大半はコンゴ民主共和国における新規SX-EW生産や既存鉱山からの増産によるものである。

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、2020年の2.0%の増加の後、2021年に約1.7%、2022年に約3.9%増加すると予測。

  • 2021年の地金生産増は3%から2%へと下方修正された。主な要因はチリ、ミャンマーでのSX-EW生産の減少である。加えて、日本、豪州、ロシアでの操業不調や、中国の電力不足による減産が原因に挙げられる。
  • 中国以外の全世界の銅地金生産量が約0.5%減少する見込みにもかかわらず、中国単体での約5.0%の増産がそれを相殺して余りある見込み。
  • 世界の二次原料由来の銅地金生産量は、2年連続の減少の後、中国の現行のスクラップ輸入割当と世界の銅スクラップ流通量が増加したことにより6.5%の増産見込み、
  • 世界の一次原料由来(精鉱、SX-EW)の銅地金生産量の増加は、2021年0.8%と緩やかになる見込み。精鉱由来の2%成長分を、5%減少のSX-EWが部分的に相殺した格好。
  • 2022年には、精鉱増産、SX-EW生産の回復、二次原料由来の更なる増産等の要因により、世界の地金生産量は4%増加となる見込み。

3)銅地金消費

世界の銅見掛け消費量は、2021年では本質的に変わらず、2022年には2.4%増加する見込み。

  • 2020年は、特に中国以外の世界において、COVID-19の感染拡大による世界的なロックダウンの影響で一時的な銅消費が減少した。しかしながら、銅は経済活動や現代の技術社会において、必要不可欠であり、その消費量は継続的に増加していくと予想されている。加えて、主要国でのインフラの開発と世界のクリーンエネルギー、電気自動車使用への転換は、継続的に長期間銅需要の支えとなる。
  • 2020年、世界の中国以外での銅地金消費量は、9.5%減少したが2021年には6.5%の回復が見込まれている。主に世界の経済状況と生産活動の改善によるもの。
  • 2020年の中国の見掛け消費量が銅地金輸入の急増等で急上昇したのとは対照的に、2021年の銅地金消費量は、地金輸入量減により5%下落すると予測している。様々なコンサルタントの予測によれば、実際の中国の消費は3%増加したとのこと。
  • 2022年は、世界経済の持続的回復が銅地金の最終消費部門に寄与し、世界の銅地金見掛け消費量が2.5%増加するものと予想。

4)銅地金需給

世界の銅地金の需給の需給予測は、2021年は需給均衡、2022年には328千tの余剰となる見通し

  • ICSGは、グローバル市場のバランスは多数の需給要因により変化するものであると認識している。また、それらの要因が不確定要素に左右されるものだと理解している。そのため、予見できない要因により、実際の市場での需給がICSGの予測から逸脱することは起こりうる。
  • ICSGは、グローバルな市場需給予測の際に、中国に関しては未報告である種々の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税)は考慮に入れていない。これらの中国在庫は、積み増し、放出期間によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/−SHFE在庫変動)によって算出している。
  • ICSGは2021年の銅地金需給均衡、2022年での余剰を見込んでいる。

2 ICSGの次回総会日程

2022年4月7日、8日に開催予定。

以上

添付:世界の銅地金生産量と消費量予測(ICSG 発表)

 

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