国際銅研究会(ICSG)2023年4月総会報告 (プレスリリース) New

2023-05-09

国際銅研究会(ICSG)2023年4月総会報告

2023年5月8日
日本鉱業協会 企画調査部

 

2023年の春季国際銅研究会(ICSG)総会は、4月27日及び28日(現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が参加した。4月28日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。

 

1.2023年と2024年の世界の銅需給予測(添付 世界 銅需給総括表:ICSGプレスリリース参照)

1)銅鉱石生産

世界の銅鉱石生産量は、2023年で3.0%、2024年で2.5%増加と予測。

  • 今回の予測では、2022年10月のICSG予測増加率の5.0%から3.0%へ下方修正された。この下方修正は、鉱山の操業低下、地理的要因、悪天候や地滑り、数か国での鉱山会社の生産計画変更、ペルーでの地域住民の反対運動が原因。
  • しかしながら、2023年の世界の銅鉱石生産はコンゴ民主共和国、ペルー、チリをはじめとする国々での新規鉱山操業開始と既存鉱山の拡張の追い風を受け、増産が見込まれる。また、2022年初頭では、依然としてCOVID-19に関する諸制限があったため、比較して多くの国々での操業回復が見込まれる。
  • 2022年から2023年に新規操業開始・拡張する主要プロジェクトは、DRコンゴのカモア・カクラとテンケ・フングルメ、ペルーのケジャベコ、トロモーチョ、チリのケブラダ・ブランカ2、等の鉱山である。また、いくつかの中小銅鉱山も新規操業開始・拡張による増産見込みである。この期間に開始するプロジェクトのほとんどは、銅精鉱を産出する鉱山(SX-EWではない)である。
  • 2023年に新規操業開始・拡張した鉱山の生産が、全体の銅鉱石増産に寄与するものの、2024年に新規操業開始・拡張予定の主要プロジェクトについては、その開始が年の後半になると予測されるため、2024年の増加率は2.5%と予測される。

 

 

 

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、2023 年に2.6%、2023 年に4.4%増加と予測。

  • 2023 年の銅地金生産量は、チリ、インドネシア、米国での製錬所の生産障害、定修による制限を受ける見込み。
  • 2023 年及び2024 年の世界の銅地金生産量の増加は、主に中国の製錬所の電解工程設備増強による増産による。
  • 世界の銅精鉱産の銅地金生産は、新規鉱山の操業開始・既存鉱山の拡張による増産により、引き続き増加すると予測される。
  • SX-EW 由来の銅地金の増産は、コンゴ民主共和国の設備の新設・増強によるもの。
  • スクラップ原料産の銅地金生産量は、二次原料処理を行う精錬所の設備増強により2023年2024 年で増産となる見込み。

 

 

3)銅地金消費

世界の銅地金見掛消費量は、2023 年に約1.4%、2024 年に約2.8%増加と予測。

  • 中国におけるゼロコロナ政策後の経済活動の再開、中国以外の地域での2022 年の需要減退からの回復、2024 年の経済成長の改善により、2023 年、2024 年の銅地金消費量は増加する予測。
  • 世界の経済指標は厳しいものの、銅の最終消費分野での生産量は持続的に増加していく見込みが示されている。
  • 2022 年、0.4%の増加にとどまった中国以外の世界の銅地金消費量は、2023 年には1.6%増加し、COVID-19 感染拡大以前の水準を超えると予測。2023 年には3.0%程度の増加が見込まれる。
  • 中国の銅地金見掛消費量は、2023 年に1.2%、2024 年に2.6%増加する予測。コンサルタントが推定する中国の実質的な需要の伸びは、両年とも2.5%から2.9%の間。
  • 銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠である。加えて、主要国におけるインフラの拡充と、クリーンエネルギーと電気自動車の普及という世界的トレンドが、長期にわたる銅需要増加要因となるだろう。

 

4)銅地金需給バランス

世界の銅地金需給予測は、2022 年には約11 万4 千トン消費が生産を上回り、2023 年には約29 万8 千トン生産が消費を上回る見込み。

  • ICSG は、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識している。そのため、予見できない要因により、実際の需給がICSG の予測から逸脱することは起こりうる。
  • ICSG は、グローバルな市場需給予測の際に、未報告である種々の中国の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税区域)の増減は考慮に入れていない。これらの在庫は、在庫積み増しや、放出によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/+SHFE 在庫増減)によって算出している。
  • ICSG は2023 年の予測について、中国の銅地金消費予測が2022 年10 月の前回予測の15万5 千トンの余剰から、今回予測の11 万4 千トンの不足へと修正しています。2024 年については、銅地金増産の影響を受け、29 万8 千トンの余剰が予測されています。

 

2. ICSGの次回総会日程

2023 年10 月3 日、4 日にポルトガル リスボンにて実開催予定。

 

 

以上

 

>> 印刷はこちら(PDF)

一般財団法人 日本鉱業振興会
〒100-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11
TEL 03-5280-2341 FAX 03-5280-7128

サイト利用規約 | プライバシーポリシー

Copyright © The Japan Mining Promotive Foundation. All Rights Reserved.