国際銅研究会(ICSG)2021年4月総会報告

2021-05-06

国際銅研究会(ICSG)2021年4月総会報告

2021年5月6日
日本鉱業協会企画調査部

2021年の春季国際銅研究会(ICSG)総会は、4月28日および29日(現地時間)にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて行われ、加盟国の政府および業界の代表者などが会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が必要に応じてオンライン会議に参加した。5月3日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次のとおりである。

1 2021年と2022年の世界の銅需給予測(添付の需給総括表参照)

1)銅鉱石生産

世界の銅鉱石生産量は、この3年間でほとんど本質的な変化がなかったが、歴史的な混乱要因による調整を経て、2021年で3.5%、2022年で3.7%の増加が見込まれている。

  • 2019年にチリやインドネシア等、一部の国で生じていた生産の阻害要因は解消された。2020年は、パナマ、ロシア、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)における新規プロジェクトによるプラス分が、ペルーに代表されるCOVID-19感染拡大によるマイナス分を打ち消し、横ばいとなった。
  • 2021年は、2020年の生産上の阻害要因が解消されると予想されるため、3.5%の成長が見込まれる。これは、最近試験操業が始まった鉱山や、既存の鉱山の拡張による産出増加のみならず、新規のより大きなプロジェクトが予定されていることにも起因する。
  • 2021、2022年には、DRコンゴのカモア・カクラ、チリのケブラダ・ブランカ2、ロシアのウドカンなどが操業開始予定である。また、いくつかの中小プロジェクトも操業開始予定である。
  • 2022年には、前年に操業開始した鉱山が軌道に乗ってくることと、いくつかの新規メジャープロジェクトの増加と拡張が、世界的なCOVID-19の感染拡大状況の緩和と相まって、3.7%の増加が見込まれる。

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、2020年に1.6%増加した後、2021年と2022年共に約3%増加すると予測される。

  • COVID-19に関連する制約があったにもかかわらず、世界の銅地金生産は2020年に1.6%増加した。2019年の大幅な下落からの回復となった。
  • 2021、2022年は世界的なロックダウンによる影響からの回復と、中国とDRコンゴが引き続き生産能力を拡大することが下支えとなり、約3%の地金生産量増となる見込みである。
  • 2020年の初めに、中国の銅地金生産はCOVID-19に関連する操業停止によって悪影響を受けた。しかしながら、2021年と2022年にはそれぞれ約4%の成長が見込まれている。
  • スクラップ由来の銅地金生産量は、中国のスクラップ規制とロックダウンによる銅スクラップ供給への影響により2019年から2020年にかけて4%減少した。世界のスクラップ由来の銅地金は2021年から2022年にかけて、スクラップの入手が容易になる状況が継続するという前提の下、増加する見込みである。
  • 世界の一次原料由来の銅地金生産(SX-EW含む)では、2021年、2022年で2.9%ずつ増加する見込み。SX-EWの予測は増加率がより低く、2021年に0.6%、2022年に2.2%の増加に留まっている。

3)銅地金消費

世界の銅地金見掛け消費量は、2021年はほぼ横ばい、2022年には約3%増加すると予測される。

  • COVID-19に関する世界的なロックダウンは、世界経済や全地域での銅地金消費に顕著な悪影響を及ぼした。2020年の中国以外の国々での消費は大きな影響を受け、約9%減少したと推定されている。しかしながら、中国の銅地金純輸入量が38%増加(120万t)したことにより、中国の見掛け消費量は13%増加し、他の世界各国の減少分を補う以上となった。結果として、2020年の世界全体の銅地金見掛け消費量は2019年比で2.5%増加した。
  • 2021年の中国の銅地金輸入量は減少すると予測されており、中国の見掛け消費量の減少要因となる見込み。
  • 2021年の中国以外の銅地金見掛け消費量が、世界経済の回復基調を織り込んで約7%の増加が見込まれているにも関わらず、中国単体での見掛け消費量が4.5%の減少と予測されるため、世界全体での消費量は0.2%の増加に留まる見込み。
  • 2022年は、世界経済全体と銅消費分野の継続的な回復と世界的なパンデミックからの回復を見込んで、世界の銅地金消費量は約3%の増加となる。
  • 銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠であるため、需要の持続的な成長が続いていくと予想される。中国、インドのような主要な国々でのインフラ発展と、クリーンエネルギーと電気自動車活用という世界的トレンドが、長期にわたる需要となる中で、銅は貢献し続けるだろう。

4)銅地金需給バランス

世界の銅地金需給予測は、2021年には約8万トン、2022年には約11万トンの供給過多となる見込み。

  • ICSGは、グローバル市場のバランスは多数の需給による要因により変化するものであると認識している。また、それらの要因がCOVID-19の感染状況の期間という不確定要素に左右されるものだと理解している。そのため、予見できない要因により、実際の市場での需給がICSGの予測から逸脱することは起こりうる。
  • ICSGは、グローバルな市場需給予測の際に、中国に関しては未報告である種々の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税)は考慮に入れていない。これらの中国在庫は、積み増し、放出期間によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/−SHFE在庫変動)によって算出している。
  • 2020年の中国の劇的な需要見掛け消費量増加に起因する世界需給の約60万tの供給不足の後、ICSGは2021、2022年において世界需給状況は、わずかに供給過多になると想定している。

2 ICSGの次回総会日程

2021年10月5日、6日に開催予定。

以上

添付:世界の銅地金生産量と消費量予測(ICSG 発表)

 

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