国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2023年4月総会報告 (プレスリリース) 
2023-05-09
国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2023年4月プレスリリース
2023年5月9日
日本鉱業協会 企画調査部
2023年の春季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は4月26日にポルトガル リスボンにて開催された。
需給予測
1. 2023年鉛概況
1)鉛消費
- 世界の鉛地金消費量は、2022年比1.7%増の1,253万トンと予測。
- 2022年のヨーロッパでの消費量は、1.9%減少した。オーストリア、ポーランド、ロシア連邦、スペイン、ウクライナでの減少が主な要因。2023年は、イタリアの需要が減少するものの、ヨーロッパ全体としては0.4%微増する見込み。
- 中国の鉛地金消費量は、2022年0.9%増、2023年にはさらに0.7%増加すると予測。また、インド、日本、韓国、メキシコ、米国でも消費増が見込まれる。
2)鉛生産
- 世界の鉛鉱石生産量は、2022年比2.8%増の456万トンになる見込み。オーストラリアでガレナマイニング社が年産9万5千トンのアブラ鉱山の操業を1月に開始し、大幅な増産が見込まれるためである。また、中国、インド、カザフスタン、メキシコでもさらなる増産が見込まれている。
- 世界の鉛地金生産量は、2022年比2.8%増の1,251万トンになる見込み。主な要因は、ドイツのトラフィグラ社 ストルベルグ製錬所が2021年に洪水により閉鎖された後、最近操業が再開されたことによる増産である。
- オーストラリア、インド、カザフスタン、韓国、メキシコ、台湾(中国)、アラブ首長国連邦では、新たな製錬所の操業開始が予定されており増産予測。しかし、これらの増産は、ブルガリアとイタリアでの減産により部分的に相殺される見込み。
3)鉛地金需給バランス
各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2023年で2万トン消費が生産を上回る見込み。
2.2023年の亜鉛概況
1)亜鉛消費
- 世界の亜鉛地金の消費量は、2022 年に3.9%減少、2023 年には2.1%増加し、1,380 万トンになる見込み。
- 中国での亜鉛地金消費は、2022 年4.9%減少、2023 年2.1%の増加が予測されている。
- その他の地域では、インド、韓国、トルコ、米国で増加するものの、欧州では0.5%の減少が予測される。
2)亜鉛生産
- 世界の亜鉛鉱石生産は2022 年に2.5%減産の後、2023 年は3.0%増産の1,286 万トンになると見込まれる。これは主にオーストラリア、インド、ブラジル、カザフスタン、メキシコ、南アフリカ、米国での増産による。
- ブルキナファソとカナダの亜鉛鉱石生産は、2022 年に鉱山閉山が重なった結果、2023 年は減産になると予測される。中国では、2022 年に2.3%減産、2023 年には1.5%増産と見込まれている。
- 2023 年の欧州の亜鉛鉱石生産は、2022 年に拡張が完了したルンディン・マイニング社のネヴェス コルボ鉱山の増産があったポルトガルとアイルランド、スウェーデンでの増産による。ボスニア・ヘルツェゴビナでは、アドリアティック メタルズ社が2023 年後半に新規操業開始を予定している、年産3 万8 千トンのヴァレス鉱山がさらに増産すると予測されている。
- 世界の亜鉛地金生産量は、2022 年に3.8%の減、2023 年には3.1%増の1,376 万トンになると予測している。
- 中国の亜鉛地金生産量は、2023 年に4.0%増の見込み。オーストラリア、カナダ、インド、カザフスタン、メキシコでは増産、日本と韓国では減産。
- ヨーロッパでの地金生産は、エネルギー価格の高騰により多くの製錬所で大幅な減産が行われたことなどから、2022 年に11.4%減産した。しかし、2023 年の生産量は、エネルギー価格の下落と、2022 年に休止した製錬所の大半の操業を再開する見込みで、2.3%の増産と予測される。
3)世界の亜鉛地金需給
世界の亜鉛地金需給バランスについては、2023 年に世界の需要が4 万5 千トン供給を上回ると予測している。
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。
以上
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