国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)2020年10月総会報告

2020-10-22

国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)2020年10月総会報告

2020年10月22日
日本鉱業協会企画調査部

国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)の2020年暦年の第65回年次総会は、ポルトガルのリスボンを基点にしてオンライン会議にて10月16日と19日の2日間にわたって開催された。実務的には世界各国の時差を考慮して、同内容の会議を2回実施し、参加者は都合のよい時間帯にオンライン出席するという方法が採られた。銅研究会(ICSG)、国際ニッケル研究会(INSG)の秋季総会と同じタイミングで開催した。総会期間中は、統計委員会を中心に、鉱山および製錬所プロジェクト委員会、産業諮問委員会において、鉛および亜鉛の世界の需給実績検討や2020年および2021年の需給見通しを議論した。また、経済委員会や環境委員会において、多くの講演者が、世界の鉛および亜鉛産業分野の現在の傾向と諸問題に関するプレゼンテーションを行った。日本からは、政府代表に加えて業界関係者、鉛・亜鉛需要開発センターの代表者など合わせて数名がオンライン会議に参加し、必要に応じて日本の鉛、亜鉛需給に関する説明や討議を行なった。
10月21日に、ILZSGよりプレス発表があり、世界の鉛・亜鉛需給予測を中心とした総会開催報告があったので、概要を紹介する。

1 鉛の世界需給予測

1)鉛地金需要

2020年の鉛地金需要予測は2019年比6.5%減の1,139万トンである。
2021年需要は、2020年比4.4%増の1,189万トンに回復する。
最大の増減要因は、世界最大の鉛消費国である中国の動向であるが、2020年の使用量は自動車生産減により1.6%減少すると予想された。しかしながら、自動車生産の回復とともに2021年の需要は増加に転じ、2021年に0.4%増加すると予測した。その一方、2020年の鉛需要はヨーロッパで9.7%減、米国で7.5%減少すると予測した。これらの地域の自動車産業は、COVID-19のパンデミックによる影響を特に受けており、新車販売が前例のないほど減少しているからである。欧州諸国では、自動車利用の低迷で交換用バッテリー需要や、サスペンションの需要が大きく減少している。2021年の鉛地金の使用量はヨーロッパで7.9%、米国で2.6%回復すると予測した。

2)新産鉛および再生鉛生産

2020年と2021年の世界の鉛鉱山生産量は、前年比較で、2020年は4.7%減の450万トン、2021年は4.8%増の472万トンと予測した。
このうち、中国の鉛鉱山生産量は、2020年は0.5%減、2021年は1%増と見込んだ。その他の、ボリビア、メキシコ、ペルー、南アフリカでは鉛鉱山生産量は、COVID-19によるロックダウンの影響を受けて大きく減少するとの予測であり、アルゼンチン、オーストラリア、カザフスタン、カナダでも鉛鉱山生産量は減少見通しである。2021年の鉛鉱山生産量については、オーストラリア、ボリビア、インド、カザフスタン、メキシコ、ペルー、南アフリカでの生産が回復するものの、ポーランドでは2020年12月にオルクシュ・ポモジャニ鉱山が閉山予定のため同国の鉛鉱石生産量は大きく減少する。
鉱石産と再生鉛を含めた鉛地金総計での生産量は、2020年は2019年比4.3%減の1,166万トン、2021年は2020年比3.6%増の1,208万トンの見込みである。オーストラリアでは増産プロジェクトが操業開始となるものの、ベルギー、中国、韓国などの鉛地金生産量は減少すると予測している。カナダでは、2019年12月にベルドゥーン製錬所が閉鎖されたため減産、ドイツでも2019年7月にノルデンハム製錬所が閉鎖されたため2021年に至るまで鉛地金生産は減少する。2021年には、中国、インドにおいて鉛地金生産が回復し、ベルギー、日本、米国などでも生産量は復調傾向を示すと予測した。

3)鉛地金需給バランス

このような需給情勢の変化を総合すると、世界の新産鉛需給バランスは、2020年は27.6万トンの供給過剰、2021年になっても19.2万トンの供給過剰が続くと予測した。

2 亜鉛の世界需給予測

1)亜鉛地金需要

2020年の亜鉛地金需要は、2019年比で5.3%減少して年間1,298万トンとなり、2021年は2020年比4.2%増の1,352万トンになると予測した。
これは、世界最大の亜鉛消費国である中国において、COVID-19によって自動車生産が大幅に減少したにもかかわらず、亜鉛メッキ鋼板生産量が2019年並みで推移したことから亜鉛地金需要量の大きな落ち込みはないと予測した。また、2021年の需要量は2%増と予測した。その一方、ヨーロッパの亜鉛地金需要は、各国の経済活動減退の影響で2019年比4.6%の減となるものの、2021年は6.5%増になると予測した。その他の主要国もヨーロッパと同様の傾向であると見た。

2)亜鉛地金生産

2020年の亜鉛鉱山生産量は、2019年比4.4%減の1,233万トンとなるが、2021年には回復して2020年比6.6%増の1,314万トンになる見通しである。ラテン・アメリカの主な亜鉛鉱生産国は軒並みCOVID-19の影響を受けて操業中断や大幅な減産に追い込まれたうえ、操業再開にも時間がかかり鉱山生産の回復が難航した。その他、ナミビア、カナダ、中国などの亜鉛鉱山生産量も2020年は減少見込みであるが、増産起業が完成した鉱山のあるオーストラリア、南アフリカ、インドでは2019年比で増産予測である。亜鉛鉱山生産量は、2021年には、ほぼすべての国で回復するものの、規模の大きい亜鉛鉱山の閉山があったナミビアとポーランドでは減少が続くものと予測した。
亜鉛地金生産量は、2020年は2019年比で0.9%増の1,360万トン、2021年は2020年比2.9%増の1,399万トンと予測した。2020年の増加要因は、中国での1.6%増をはじめ、オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア、インド、米国における増産である。特に米国では、2019年3月にノス・カロライナ州ムアーズ・ボロに立地する二次原料使用のアメリカン・ジンク社の製錬所が再開したことが増産に寄与している。2021年の増産要因は、中国、インド、米国が2020年に続いて増産基調であることに加えて、日本、メキシコ、ペルーの亜鉛製錬所が増産予定であることが主因である。

3)亜鉛地金需給バランス

このような需給要因の変化の結果、世界の亜鉛需給バランスは、2020年は62万トンの供給過剰、2021年でも46.3万トンの供給過剰になると予測した。

3 経済環境委員会、環境委員会の活動

2つの委員会では現在の状況をレビューするとともに、以下の講演会を催した。

1)OECDのルイス・マレチャル氏:鉱物および金属のサプライチェーンに沿ったOECDのデューデリジェンスガイダンスの実施

2)英国国教会ファンドのアダムス氏:投資のための鉱業および金属プロジェクトを評価する際に行われる重要な社会的、環境的、経済的および
   統治上の考慮事項

3)国際鉛協会(International Lead Association;ILA)のアンディ・ブッシュ博士:現在の鉛業界に影響を与えているさまざまな問題

4)UNCTAD(国連貿易開発会議)のラシッド・アムイ氏:鉱業部門におけるUNCTADの取り組みの概要と、電化関連機器を推進する金属と鉱物
   に関する最近の報告からのハイライト

5)国際亜鉛協会(IZA)のアンドリュー・グリーン氏:亜鉛の主要な市場開発イニシアチブ

これらの講演資料は後日ILZSGのサイトに掲載予定であるため紹介等は略。

4 2021年のILZSG会合スケジュール

年次総会:2021年10月6日から8日、リスボンにて。
春季中間総会:2021年4月28日、リスボンにて。

以上

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