国際ニッケル研究会(INSG)2021年4月総会報告

2021-05-06

国際ニッケル研究会(INSG)2021年4月総会報告

2021年5月6日
日本鉱業協会企画調査部

2021年の春季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、4月23日および26日にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて行われ、加盟国、国際機関などから官民合わせて90人を超える関係者が参加した。4月28日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。

1 2020年および2021年の世界のニッケル市場状況

2020年のニッケル市場は、COVID-19のパンデミックが世界経済に悪影響を及ぼしたことから、深刻な不確実性局面に陥った。 2021年には、主要な経済指標は少しずつ回復すると見込まれる。政府と業界の参加者は、会議においてニッケル市場の動向について広範囲に議論を行った。

国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の発表によると、2020年のステンレス鋼の生産量は、中国における下半期の生産回復にもかかわらず、前年比2.5%減の5,090万トンであった。また、2021年のインドネシアのニッケル産業は大きく成長する見込みである。電気自動車の増加は、バッテリーに硫酸ニッケルを使用していることからニッケル需要にプラスの影響となる。

インドネシア政府は、2020年1月より未加工のニッケル鉱石輸出を禁止した。その結果、中国はニッケル・ピッグ・アイアン(NPI)用の鉱石原料不足になったため、中国のNPI生産量が減少し、2021年にはさらに減る見込みである。その反面、インドネシアにおける新規NPIプロジェクトは2020年に大幅に増加し、2021年も増加傾向が続くと予想される。

世界のニッケル鉱山の生産量は、主にインドネシアの鉱石輸出禁止により2020年に減少したが、2021年には回復すると予想される。インドネシアは、国内のニッケル産業が拡大しているため、引き続き世界最大のニッケル生産国である。インドネシアおよび他の地域で事業計画中のHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)は、従来の硫化鉱ではなく酸化鉱を原料とするため、鉱山生産量にプラスの影響を及ぼす。

世界の新産ニッケル生産量は、2019年は236.9万トン、2020年は249.4万トンであったが、2021年には271.8万トンに達すると予測した。ただし、中国とインドネシアのNPI生産に関しては変動幅が大きく不確実である。また、生産中止、減産等の要因を見据えた調整係数は含まれていない。

世界の新産ニッケル消費量は、2019年は240.5万トン、2020年は238.6万トンであったが、2021年には267.3万トンに増加すると予測した。したがって、2019年は3.6万トンの供給不足であったが、2020年は10.8万トンの供給過多、2021年には同じく4.5万トンの供給過多になる。

2 統計委員会および産業関係者討議(IAP)

統計委員会、産業関係者討議(IAP)は合同オンライン会議となった。主な発表や関連した議論は以下のとおりであった。

オーストラリアおよびインドネシアで事業展開中のニッケル・マインズの営業本部長であるジャスティン・ウェルナー氏は、「グローバルニッケルの新しい力」と題して同社の現在の活動についてプレゼンテーションを行った。

ベルギーに事務局を置く国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の経済・統計・製品担当ディレクターのカイ・ハーセンクレバー氏は、「世界のステンレス鋼市場の現状」についてプレゼンテーションを行った。

英国のロスキル・インフォーメーション・サービスのシニアアナリストであるイン・ルー氏は、「世界のニッケル市場の動向とEVバッテリーセクターへのニッケル供給の見通し」についてプレゼンテーションを行った。

3 環境経済委員会

環境経済委員会では、ニッケルに関する経済的な問題や動向、環境、健康、安全に関する規制の変更など、幅広い議題が取り上げられた。

ニッケル研究所のH&E(健康および環境テーマ)公共政策局長であるベロニク・スツーカーズ博士は、ニッケルに関連する最近の規制に関する議論の状況についてプレゼンテーションを行った。

中国の安泰科のチーフエンジニアであるシュウ・アイドン氏は、「中国のニッケル市場とEVセクターの現在の動向」についてプレゼンテーションを行った。

ウィズダムツリーのリサーチディレクターであるニテーシュ・シャー氏は、「車両の電化に関するウィズダムツリーの見解と、投資家が自分たちをどのように位置づけているか」についてプレゼンテーションを行った。

4 INSGの次回総会日程

2021年10月4、5日に予定。

3で記載したプレゼンテーションは、INSGのウェブサイトに掲載する。詳細については、ウェブサイトwww.insg.orgにアクセスするか事務局宛てに問い合わせください。

以上

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