国際ニッケル研究会(INSG)2020年10月総会報告

2020-10-21

国際ニッケル研究会(INSG)2020年10月総会報告

2020年10月21日
日本鉱業協会企画調査部

2020年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、10月12日と13日にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて行なわれた。加盟国からの政府および業界の代表者、オブザーバー、国際機関関係者を合わせて60人以上が会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者や協会関係者が必要に応じてオンライン会議に参加した。10月13日付けでプレス発表されたニッケル市場見通し、参加した委員会に対する感想等は次のとおりである。

1 2020年と2021年のニッケル市場予測

COVID-19のパンデミックは世界経済に甚大な影響を及ぼしていて、その負の影響は2021年まで続くと予想した。

世界のニッケル新地金生産量(フェロニッケル他を含む。以下同じ)は2019年実績では238.2万トンであったが、2020年には243.6万トン、2021年には258.6万トンに達すると予測した。ただし、特に中国とインドネシアのNPI生産に関しては変動の余地が大きくあり、生産予測には変動要因を含めていない。

世界のニッケル新地金使用量は2019年に240.3万トンであったが、2020年に231.8万に減少した後、2021年に251.8万トンに増加すると予測した。この結果、需給バランスは2019年に年間2.1万トンの供給不足であったが、2020年には11.7万トンの供給余剰となり、2021年においても6.8万トンの供給余剰となる。

国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)は、2020年上半期の数値を発表し、ステンレス鋼の生産量が前年比9.4%減の2,370万トン(物量ベース)であったと報告した。中国を含むすべての地域でステンレス鋼の生産量が減少したとのことである。ステンレス鋼生産は、中国では2020年下半期に回復するものの、2020年通年では減産が見込まれる。しかし、2021年には増産に転じるとの予測である。

世界のニッケル消費に関しては、自動車の車載機能のいっそうの自動化が進行すると、その電源用バッテリーに硫酸ニッケルを使用していることから、ニッケル需要に対してプラス要因であると考えている。

インドネシアは2020年1月から未加工のニッケル鉱石の輸出を禁止したため、中国はニッケル・ピッグ・アイアン(NPI)産業用の原料不足になる。中国におけるNPI生産量は、過去4年間に増加したが、2020年と2021年には減少すると予想される。その一方、インドネシアにおける新規NPIプロジェクトは、2020年と2021年において引き続き増加する。世界のニッケル鉱石の生産量は、主にインドネシアの鉱石輸出禁止により2020年は減少予想であるが、2021年には増産に転じる見込み。インドネシア他におけるHPAL(高圧酸浸出法)プロジェクトが数か所あることもニッケル生産増要因である。

2 統計委員会事前会合

10月8日に、本会議時の統計委員会に先立ち、オンラインで統計委員会準備会合を行なった。関係者により各国実績や予測値を深く議論し、時差を考慮して2回繰り返す本会議で出る意見調整をするのは困難との事務局判断でニッケル統計についてのみ準備会合を開催した。準備会合参加者は約30名。日本側参加者は、経済産業省担当官、ニッケル生産者や商社関係者など合計10名程度で、当協会からは2名が参加した。

事務局が収集した世界各国のニッケル地金生産、消費、鉱山生産に関する2019年実績、2020年予想、2021年予想について、主に中国、インドネシアに関する議論が行なわれた。

INSGには、世界のニッケル需給のカギを握る中国、インドネシア、フィリピン、カナダなどが未加盟であり、議論はもっぱら専門家の収集した独自情報や見解のみで行われ、当事国からの状況説明や当事者との意見交換ができない。そのため、加盟国ではない国の数値については、当事者以外の参加者の意見で議論が行われるため、まとまるのに時間がかかった。また、INSG事務局とアナリストの数名ですべての国の数値を細かく確認、修正していたが、数量が少ない国の千トンレベルの修正を行うことよりも、規模の大きい中国やインドネシアに関する議論を深掘りした方が良いように感じられた。多くの参加者が長時間傍聴するだけの統計議論も、国際会議を行なうメリットを感じにくい状況であった。

3 統計委員会および産業関係者討議(IAP)

統計委員会とIAPでは、以下のプレゼンテーションを行なった。

英国マッコーリー・キャピタル・ヨーロッパ社のジム・レノン氏「Covid-19後のニッケル:何が変わったのか」

ベルギーの国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の理事カイ・ハーセンクレバー氏「世界のステンレス鋼市場の現状」

なお、講演要旨は、後日、INSGのサイトに公開予定である。

4 環境経済委員会

環境経済委員会でのプレゼンテーションは以下のとおり。

国際ニッケル協会(Nickel Institute)パルール・シャラバ氏「今後のニッケル市場開発」ICMM(International Council on Mining&Metals:国際金属鉱業評議会)トム・バトラー事務局長、「ICMMの使命と鉱物および金属鉱業分野に関連する主要な活動」

国際労働機関(ILO)技術担当理事カミラ・メイレルス氏「COVID-19が世界の産業界に与える影響と、ILOによる鉱業部門への影響」

5 INSGの次回総会日程

ポルトガルのリスボンで2021年4月26〜27日に予定。

以上

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